【ネタバレ】キングスマン ゴールデンサークルのマーリンが歌うシーンで泣いたという話。
1作目みてないけど親がゲオから借りてきたのでゴールデンサークルを見ました。
スパイ映画もともと好きなのもあり、キングスマンの前評判かなり良いというのもあり、かなり好きな作品の一つになりました。
色々語りたいことはあるのですが、ひとまずラスト手前の個人的にすごい良いシーン、マーリンが歌うところについて書こうと思います。
まず、マーリンというのは主人公のイギーと相棒のハリー達が所属する特殊諜報機関のエージェントの一人なんですが、インテリ系のスキンヘッドのメガネかけたおっさんです。
参謀役として優れている一方、あんまり戦闘力は高い方ではなく、アメリカの特殊諜報機関であるステイツマンに乗り込んだ時は現地のエージェントにワンパンで気絶させられたりしています。
そんな彼が、ゴールデンサークル(本作の敵の組織)のアジトを突き止めて乗り込む最終局面で、イギーとハリーと共に現地に赴きます。
輸送機の中ではなんか支給品の刃物もってイキったり、キングスマンエージェントが羽織るような一張羅を身にまとってイギーから褒められたりしてるのですが、いざ現地で彼を待っていた結末は…
イギーが踏んだ地雷の身代わりになる、というなかなかキツいものでした。
ゴールデンサークルが世界中にばら撒いたドラッグに潜ませた致死性のやばいウィルスにより、数億人もの人が死を待つのみというタイムリミットが迫る状況で、彼が選んだ行動は、「イギーとハリーに潜伏させ、自分が敵の門番数名を引き付けてから地雷を起爆させる」というもの。
この敵を数名引き付ける時にマーリンが歌ったのが、彼自身作中で好きな歌手、として挙げていたジョン・デンバーの「カントリーロード(原曲は『故郷に帰りたい』だそう)」です。
この誰もが知っている名曲が彼の独唱にオーケストラ風の演奏が乗った状態で流れるんですが、僕はもう初見でみたときにウグ…って嗚咽が入ってしまいました。
重ねていうと、彼はあんまり戦闘に長けた戦士、という感じのエージェントではなくて(新人の訓練とかはできるようですが)、どちらかというと冷静沈着な参謀、というキャラです。
主人公のイギーは元ヤンということもあり、結構感情に流されかけるシーンがあるのですが、そういったシーンでもマーリンは「感情に流されたら死ぬ」とシビアなセリフを投げかけます。
とはいえ、その後酒を飲むシーンで普通に号泣しながらキングスマン壊滅という事態を防げなかった自分の不得を嘆いたり、ステイツマンに保護されていたハリーを尋問の道具に使われた時に撃たれそうになっているハリーに身を屈めるように叫ぶなど、かなり人間味のある人物として描かれています。
そんな、普段は冷静にエージェントを補佐する役割を粛々とこなしつつ、どこか人間味を漂わせるハゲのおっさんの最期が、自らの意思で選んだ自爆なわけです。
マーリンがカントリーロードを歌う、という行動を取った意味について色々考えてしまって、一つは、「敵兵を引き付ける」という意味がもちろんあったと思うのですが、もう一つ「自分を鼓舞する」という意味合いがあったのではないかと。
冷静沈着な参謀として職務を全うしつつ、仲間大勢の死については泣いて悔める男が、自分の好きな歌を歌いながら最期の務めを果たす、というシーンで、もう最の高。自己犠牲には難しい気分になる自分ですが、あのシーンは最終決戦に移行するくだりではかなり効果的と言わざるをえません。
歌うマーリンと必死につくった笑顔でアイコンタクトを送るイギー、歌い終わり地雷を起爆させたマーリンを確認し目を閉じるイギーとハリー、「あぁ、地雷を踏んだのね、誰か片付けちゃって」と人が数人死んだのに何の気概もなく命令するゴールデンサークルのボス、そして激しい怒りの表情を見せるイギーと、静かな決意を感じさせるハリーの正面カット。
このくだりが「このボスは絶対に倒さなきゃいけない」という主人公たちの決意を共感させる流れとして最高に素晴らしい。
その後も敵に雇われたエージェント候補だった義手のハゲとか実は裏切り者だったステイツマンのおっさんとかと戦う時にもマーリンへの言及がイギーとハリーの間であるのですが、いかに二人にとってマーリンの存在が大きかったかが感じられます。
特に、イギーは終始おっさんを信用していたのですが、おっさんの「マーリンと一緒に細切れにしてバケツにいれる」というように彼の死を侮辱するような物言いを聞いたからか、割とすんなりとハリーと連携しつつおっさんを殺します。
まぁおっさんは結局利己的な主義に基づいて行動しようとしてたので、エージェント的にも一人の人間としてもやらざるを得なかった感じがすごい。
兎も角、ゴールデンサークルにおいてイギーハリーの活躍もすごいんですが、マーリンという一人の男の生き様に着目するのもまたオツなものでした。
最後に彼への敬意を込めてカントリーロードの英語版歌詞を載せて終わります。
故郷に帰りたい ジョン・デンバー
Almost heaven, West Virginia Blue ridge mountains, Shenandoah river Life is old there, older than the trees Younger than the mountains, blowing like a breeze Country roads, take me home To the place I belong West Virginia Mountain mamma, take me home Country roads
ソングライター: Bill Danoff / John Denver / Taffy Nivert Danoff